2023年5月1日
向日市「生きる」ネット代表 木下秀美
●全体を通して(総論として)
早いようで、とても短い選挙期間だったという実感です。まずは、このようなチャンスをいただき、貴重な体験をさせていただきながら、皆様のご期待にお応えできなかったことを心よりお詫び申し上げます。
幾名かの方から立候補のお誘いをいただいたのが2月末。当初はお断りをしましたが、そもそも自分はこの20年あまり何をしてきたのか? これから何をしたいのか? しばし熟考の後、精神保健福祉士としての私へのお誘いは、日本精神保健福祉士協会認定の精神保健福祉士としてすべき仕事・役割ではないかと考えるに至り、自らの意思として立候補を表明することになりました。
とはいえ、無所属の無名である私が、2期8年市長(それ以前は市議・府議)としての実績のある方と市長の座を争うことになるわけですから、「とりあえず始めてみよう」では取り組めません。
応援して下さる方々ともたくさん話し合い、私が発足当初からアドバイザーとして関わらせていただいてきた子育て・不登校の親のグループ(それぞれ11年・6年)の方々、学校事故・事件や自死対策、子ども虐待防止、その他さまざまな地域活動などで関わり支えていただいてきた方々、個別にカウンセリングなどでサポートさせていただいている方々などに、率直に意向をお伝えし、ご意見やご提案をいただきました。そして、これまで取り組まれてきた「政治」選択でない、誰も対立構図になることなく、共創・協働の地域社会、その軸となる市政を作る必要がある。さらに多様なお立場のみなさんのお声をお聴きしながらビジョンを作り、この首長選挙が、地域社会や地方自治体の役割をお考えいただける機会となるように、その結果として有権者全員の意思決定の場となるようにと、選挙活動の展開を考えました。
結果はご存じの通り、安田氏11,545票、木下4,325票という大差での敗北です。投票率は前回よりも0.83%増加したとのことですが、票を増やしたのは安田氏であり、真摯に受け止めつつ、しっかりと分析をしていかなければなりません。安田陣営が気を引き締めるきっかけを作ってしまったのかも知れません。今回の結果は、前回市会議員選挙における各党・会派・議員それぞれの得票数を合計と酷似しています。どのような力が働いたのかは推測の域を出ませんが、単純に数字を見れば、基盤・基礎票を固めた相手側に敗北したことになります。しかし、4,325人の方々が「木下秀美」と投票用紙に書いていただいたことはありがたい事実です。
大局的な争点は「開発」か、「福祉」かであったと思いますが、農業、まちのにぎわい(特に阪急東向日)、コロナ禍を経ての各種事業や市民の生活の継続と生き延び方、保育所・幼稚園教育、学校教育、障害者福祉、高齢者福祉、医療、など多岐にわたる行政課題が複雑にからみ合いながらの選択、その結果でした。
ひとまず「『福祉』のための財源確保の『開発』優先」へ、向こう4年の向日市へ舵が切られたわけです。しかし、さまざまな場面、立場、局面で、当然ながら多くの小異があり、「生きる」レベルで守らなければならないものを必死に守っている市民の存在、かつて一緒に取り組んでこられた活動が分断され、孤立化されているのを、この選挙戦でもしっかりとつかみました。しかし、それでもあきらめないお一人おひとりの力を感じさせていただきました。
●40年暮らし、これからも生きる向日市で社会福祉専門職として
(個人的な思いとして)
結婚を機に向日市に移り住んで40年。二人の子育てをしながら、共働きなので当たり前に公立保育所を利用し、保護者会の会長や連合会役員を、小学校では学童保育所の会長や連合会役員をさせていただきました。向日市には6つの公立保育所が、そして6つの各小学校敷地内に学童保育所(留守家庭児童会)がありました。緑にあふれた環境の良い、水道水は地下水を使っていてとても美味しい、そしてこども・子育てに優しくあたたかい町でした。阪急東向日駅周辺も交通の要所としてだけでなく、買い物が便利でにぎわう所でした。
あれから40年。向日市は大きく様変わりして行きました。「開発」も進みましたが、そのために田畑がなくなって行きました。田畑・竹藪・お商売など、後継者問題も重なり、事態は深刻です。京都市との境目に阪急電車の新駅「洛西口駅」(2003年開設)が、JRの新駅「桂川駅」(2008年開設)が、そして「イオンモール桂川」(2014年開業)が作られました。マンションや戸建て住宅が増え、人が増えた事で新しいにぎわいが作られています。
しかし、こうした「開発」によってこどもの数が増えることがわかっていたはずなのに、小学校も保育所も、それを見込んだ準備をしていたとは言えず、近くの小学校・学童保育はこどもたちであふれ、保育所入所も「激戦区」と言われる状態です。保育所入所を諦め、幼稚園に預けるために正職員を辞めざるを得なかったお母さんもおられます。公立保育所は3カ園に減り、学童保育所も民間委託が進んでいます。もう、こども・子育てに優しい、福祉の町としての向日市はどこかに行ってしまいました。
同様に、障害のある方にも、ご高齢の方にも、生活困窮にある方にも、「経費削減」扱いのごとく、支援・サービスを利用できる壁を高くし、予算も削られ続けています。生活保護ワーカーが重大犯罪に巻き込まれるという事件も生じてしまいました。住民のいのち・くらしを考える時、悲しみがこみ上げて来るほどです。私は認定精神保健福祉士として個人開業(教育と人間関係の相談室カンナ)していますので、多様な困り事相談やカウンセリングで、そして成年後見人等として関わる中で、その惨状を、この目で見、この耳で聞き、問題解決に向けてご一緒させていただいている支援者として、怒りすら覚えます。
昨年春、障害のある方向けに発行されている「福祉タクシー事業」の対象者を切り捨てるという事件が起こりました。「外出が困難な障がい者に対し、タクシー料金の一部を助成することにより障がい者の生活行動範囲の拡大及び社会参加の促進をはかることを目的とした事業」で、具体的には要件を満たせば最高で1年間12,000円分のタクシーチケット(1枚100円分×120枚)が助成されるものです。今の要綱でも、他市と比べてもハードルが高い上に、突然に身体障害者の「脚の部分」の障害等級が「2級以上」であることが特定できないと判断された14人が対象から外されました。私も「おかしいのではないか」と交渉する中で、「医師の意見書があれば対象とする」と対応が変わり、7名にチケットが交付されました。この実施要綱の解釈変更を厳密に行うなら、下肢の障害状態に限って障害レベルを特定できる整形外科医に再診断を受けて、障害者手帳の更新・再発行が必要となりますし、特に高齢者や「永久認定」を受けておられる方などでは現実的ではありません。では、何がしたかったのか? 対象者の「外し・減らし」以外に考えられません。そして、残る7名分、84,000円が切り捨てられたことは事実です。この事件は氷山の一角で、介護サービス支給などにおいても同様に、さらに大規模に「外し・減らし」が行われていると言って良いでしょう。困りの声が止まらないからです。
私が個人事務所でお受けできる、ご一緒できるケースには当然限りがあります。今回の選挙で訴え続けて来たように、本来私が個人で行っている取り組みの80%以上は、本来行政が「健康福祉部」として対応すべき課題です。引き続き、行政サービスが利用できるものは市役所の当該窓口におつなぎしつつ、窓口がしっかりと対応できるように外郭からではありますがサポートさせていただきつつ、不登校、メンタルヘルス、さまざまな人間関係、意思決定支援など、行政が窓口を持てていない谷間・隙間の課題に対応をして行きます。それら1つひとつにご一緒することが、必ず市役所を動かしていくことになると信じるからです。同時に、議会傍聴をはじめとした市政ウォッチング、タウンミーティングや学習懇談会などを行い市民の声をお聴きする取り組みを継続します。
●市民の声・要望はどこにあるのか?
私たちは、今回の市長選挙で、以下のスローガンやビジョンを掲げてきました。
「向日市を変えるビジョン」
願いを語り、実現をめざす市政に変えて行きましょう!
<スローガン>
●あなたを支える、それが行政の仕事だよ。あなたは夢に向かって!
●こども、子育て、いのち、くらし支えきる市政に
1.こども・子育て・社会福祉の充実
●こども・子育て・教育を、総合的に支援する拠点(センター)を設置
●市役所健康福祉部各課に、必要な数の社会福祉専門職を常勤配置
●小中学校の給食費無償化、トイレに生理用品常備
●18歳までの医療費を通院も無償化
●子育て支援・障害福祉・学校教育の連携で、親の困り・悩み・不安の軽減、必要な施設の新・改築
●障害福祉、介護の拡充。高齢者医療費軽減などで、誰もが困らない、「困っています」が言える市政に
※こどもの権利条約、障害者の権利条約を、すべての人の人権と尊厳の擁護を市政の基軸とする条例制定をめざします。
2.環境・くらし・まちづくり
●市民の声と力を活かし、緑・環境を大切にする「向日市らしい」まちづくり
●市民会館名に「向日市」を入れ、使いやすい施設に
●コロナ禍・物価高騰に対する生活・自営業者への支援
●誰もが気軽に集える「居場所」や公園をふやす
●農産物の地産地消、「住宅リフォーム」「耐震改修」「バリアフリー化」への助成など、地域循環型経済施策で、にぎわう向日市に
●市民の関心が高い多様なテーマで、市民学習交流会を開催
●トップダウンでなく、市役所職員が元気に、意欲的に働ける市役所に
※環境を守り、箱物に「魂」を入れ、一人ひとりの市民の声と市役所が力合わせ、対立でなく、共生・協働によって、こどもたちが5年後、10年後、20年後に「向日市で育って良かった」と言える市政をめざします。
<市民学習会のテーマ>
環境・まちづくり、こども・子育て・教育、農業・商工業によるにぎわい、学術・科学、健康と医療、健康と福祉、虐待・ネグレクト・不適切な養育について、生活保護、こどもの権利条約、障害者の権利条約…
これらは、私が原案を提案させていただき、向日市「生きる」ネット会員や、推薦してくださった「新しい民主市政をつくる市民の会」、それに参加される方々とご一緒に、文字通りすごい時間をかけて、一言一句練り上げ、絞り込んだたものです。
今回、得票という結果には十分には結びつきませんでしたが、今の向日市が抱える問題・課題であり、その解決に向かう方向性を「声ある声」として市民のみなさんにご提示してものです。切実な声をしっかりとお聴きしながら「向日市らしさ」を意識し、大切にしつつ作って来たものですから、今回は残念な結果となっても、今後もその実現をめざして取り組んで行かなければならないテーマばかりです。
また、立候補表明と同時に「くらしアンケート」を集めてきました。QRコードをスマホで読み取って回答・送信するというものです。当初はご高齢の方々には戸惑いがありましたが、「お近くの若い人、お孫さんなどに手伝ってもらって、一緒に話し合いながら…」と訴え、投票日前日に締め切った段階では131名の方からご回答をいただきました。50代、60代、70代の方が60%を超え、80代以上の方からもご回答をいただけたのは驚きでもあり、とても嬉しく思います。一方で、10代は一定割合おられましたが、20代が思ったよりも少なく、「Z世代」といわれる有権者4,000名の方々への浸透が十分でなかったこと、「お声」を、ご要望をお聴きできなかったことは大きな課題です。
「日々・月々のくらしの状態について」、「満足している」「少し満足している」「ふつう」と回答した方が6割おられました。それぞれ満足の基準は違うでしょうが、一定の満足度があります。その一方で「少し困っている」方が3割、「困っている」方も1割おられることがわかりました。具体的な困りや、改善のために活用できる支援やサービスはあるのか、その相談先や行政対応につながれておられるのか心配です。これまで個人事務所でのご相談でも、選挙に入ってからの市民のみなさんとの対話でも、「困っていても、相談先がない」「相談に行ったらたらい回しにあった」ことから、あきらめている方が少なくないことがわかっています。誰も困らない、「困っています」が言える向日市にしていく必要があります。
「向日市政について」「これからの向日市政に求めたいこと」では、「くらしの安定・充実」が突出していました。これは「日々・月々のくらし」ともリンクしています。「子ども・子育て」「学校教育」「社会福祉」「健康推進」「高齢介護」「まちづくり」「にぎわい」「ライフライン整備」「居場所」に関する項目への関心・要望が高いこともわかりました。
道路整備や上下水道など市民生活に密接する「開発・整備」への関心・要望は高く、一方でJR向日町駅東口についての回答が多いのは「どんな開発がされようとしているのか?」への関心の高さと読み取れます。
「子どもたちが向日市で育つこと」についての設問では、(向日市で育ってほしいかどうか)「どちらとも言えない」が40.5%、ついで「そうして欲しい」が多いものの、「そうして欲しいと思わない」方が少なくなくおられることは、向日市のこども・子育て施策に課題があることを明らかにしています。
そして、「よく利用される市の窓口」は、当然ながらですが今の「市民サービス部」、つまり東向日別館であることもはっきりとしました。東向日別館がさらに利用しやすいように改善が、そして健康福祉部局の対応の向上が求められます。
私たち向日市「生きる」ネットが掲げたビジョンは、市民のみなさまの声・要望に添った内容であるものと思いますが、市長選挙の争点とはならなかった、と言わざるを得ない結果でした。だからといって、「要望がない」「みんな満足している」と解釈してはいけません。確かな「困りの声」があることは明らかです。
●「開発で税収、福祉向上へ」のまやかしが、なぜまかり通るのか?
私たち向日市「生きる」ネットは当初より、「こども・子育て・いのち・くらし支えきる市政に」という、至ってまっすぐなスローガンを掲げています。
「福祉にお金がかかる、だから開発をし、大企業を誘致する」は、一見もっともらしく聞こえますが、向日市が住所地でない大企業が建物を建てて事業活動をしても、向日市の税収となるのは基本的に固定資産税のみです。そればかりか、大企業のための道路整備、以後の維持管理は向日市の持ち出しとなります。
「開発で税収」を増やして福祉に回すと言いますが、むしろこれからまだまだ福祉に回すお金を減らすことになってしまいそうです。
阪急洛西口駅周辺は、確かに現代的な要素の多い、新しい街に見えるだけでなく、明らかに人口が増えました。同時に、後追いでこどもの数も増えました。
さらにこれからJR向日町駅東口にタワーマンションが建設される計画があり、人口、こどもの数が増えます。しかしいずれも、保育所・幼稚園・小学校・学童保育所などの受け入れや子育て支援の体制整備が伴っているようには見えません。
かつて6カ園あった公立保育所は3カ園に減り、民営化され、認可保育園・こども園頼みの傾向が増しています。「0歳児、一次・二次ともに落ちた」「1歳児は激戦区」「3歳は入れない」という声があふれ、正規就労継続をあきらめて幼稚園を選択せざるを得なかった人もおられます。「昼間の保育に欠ける」要件がどんどん厳しくなり、かつての「子育てするなら福祉にあたたかい向日市で」の声は聞かれなくなりました。
それでも京都市から見ると、向日市は「福祉があたたかい」と見えるようです。しかし人口動態(H28年〜R2年)を見ると、人口はマンション建設などによる増加で変動。転入減少、転出増加するものの、出生数で維持している状況です。今後もマンション建設が進めば、増加となるでしょう。しかし、転入減少、転出増加は看過できません。「住みたくない」「住んでみたけど他へ移動する」市と見ることもできます。
福祉が切り捨てられ、後回しにされていることを、若い人たちはしっかりと見ているのではないでしょうか。
一方で政治不信の現れとも言える投票率の低さは顕著で、地盤・基礎票の強い現職側がそれらを押さえきり得票につないだことは、結果から見て取れます。
選挙に勝った=市民の支持を得た=だから開発、という解釈で強引に、そして乱暴に、これからも「開発」や企業誘致が進められることになるでしょう。しかし、安田氏の得票は全有権者46,307人の中で24.93%に過ぎません。私たち市民は、今後4年間は、さらに切り捨てられる福祉、後回しにされる福祉の中を生きていかなければなりません。
●「サイレント・マジョリティ」と言わせないために
乙訓青年会議所が、今回の市長選挙に向けてZoomによる事前収録の「公開討論会」を開催してくれました。その中で、安田氏は「自分を支持してくれているサイレント・マジョリティを大切にしたい」という主旨の言葉を使われ、とても驚きました。サイレント・マジョリティとは、声なき、あるいは物言わぬ多数者のことを言います。大部分の市民が満足していて、自分を支持してくれている、と解されます。
果たしてそうでしょうか? くらしアンケートの結果からも、物言う市民が多数いることはわかりますし、低い投票率における4,325票はマイノリティと言うには決して少なくない数字です。
私たち向日市「生きる」ネットは、今回の市長選挙で最も大切にしたのが投票率のアップでした。Z世代にもしっかりと伝えられるようにとWEBサイトやSNSの活用に力を注ぎました。
18歳選挙権になってから7年。これからの選挙では、インターネットの活用が不可欠になります。向日市長選挙、市議会議員選挙で、今回のレベルでの取り組みは初めてのことと思います。選挙の準備、本番の期間が短かったこと、有権者のみなさんが慣れていないこと、ご高齢の方々には日頃使わないツールであることなどから結果にはつながらなかったかも知れませんが、必ず今後に生きていくものと確信します。
インターネットの活用は、このサイレント・マジョリティを声なき、あるいは物言わぬ多数者として扱えなくする取り組みでもあります。今後の展開に期待します。
●こども・子育て・いのち・くらし支えきる向日市政へのリノベーションをご一緒に
サイレント・マジョリティと解される問題も、全国的に起こっています。しかし、現在の多くの為政陣営にとっての勘違いに過ぎないことを、私たちは証明して行かなければなりません。とりわけ大切な首長選挙においては、その自治体のその後の4年を託すトップを決める選挙ですから、投票率を高めて、文字通り民意を反映するものにしなければなりません。
また、「勝つための票固め(集め)」で勝ててしまえる選挙、も終わりにしなければなりません。
向日市には、市のWEBサイトを通してPDFでしか見ることができない「第2次ふるさと向日市創生計画(令和4年度改訂版)」(https://www.city.muko.kyoto.jp/kurashi/shisei/shisaku/furusato/1663647686537.html)があります。序論の(2)「計画の位置付け」には「この計画は、本市が目指すべき方向性を示したまちづくりの最上位計画と位置付けます。」とされています。3つの施策の柱、それぞれの施策分野が示されています。そして年度毎の改定をしています。【基本フレーム】の「土地利用」のゾーニングでは、JR向日町駅-阪急東向日駅-競輪場の一帯を「中心にぎわいゾーン」としています。文字通り「中心にぎわいゾーン」にしていかなければならないのに、逆ににぎわいが失われています。そして「産業ゾーン」の「開発」だけは計画通りに着々とすすめられています。
向日市の「憲法」とも言える「まちづくりの最上位計画」は、毎年度、わたしたちの声で味付けしているわけですから、市長選挙で敗北したから「次は4年後」ではなく、次年度の改定のための市民の取り組みを続け、あるいは始めていかなければなりません。まずこの「創生計画」の全戸への配布(現状ではWEBサイトからPDFを開ける人しか見ることができません)、計画やその柱・施策ごとの学習懇談会など、市民の声を集める、出せるようにしていかなければなりません。
今回の市長選挙を戦う中で、多くのこどもたち、子育て世帯、高齢者、農業を営む方、お商売をされる方、建設・建築で働く方、市役所の中で働く方、ご近所の方、私自身の子育て時代の保育所や学童保育所仲間、大学時代の友人・知人などから、応援とともにご要望や切実な声をたくさんお聴きしてきました。それらすべてが、選挙戦を支えてくれました。
また、私たちが夢を持ち続け、あきらめる必要がないことを教えてくれる自治体も誕生しています。旧来・従来の政党・政治とカネ・地盤や基礎票、「寄らば大樹の陰」とばかりの「群れ」、分断・対立の煽り(あおり)に惑わされることなく、お一人おひとりがこれからの世界を、日本を、地域を変えて行くために、政治、行政の「真」の役割やあり様を問う形で、各地の首長選挙で有権者がその結果を出して来ています。
・2022年9月就任、杉並区長:岸本聡子氏
「環境とこどもを守り、杉並に住むすべての人が安心して暮らせるまちづくりを一番に」
・2011年5月就任、明石市長:泉 房穂氏
「こども施策で人口増・経済好循環〜決断すれば実現可能〜」
・2023年4月当選、芦屋市長:高島崚輔氏
「皆さまと共に、この芦屋市を世界で一番住み続けたい、そんな街にしていきたいのです」
・2023年4月当選、江東区長:木村やよい氏
「住んでよかった江東区!子育てするなら江東区!」
・2022年11月無投票5選、伊根町長:吉本秀樹氏
「ないものねだりをしない、あるものを最大限に活かす」「より良い地域社会『ええまち』を私たちの手でつくりだし、そして未来へ伝えていく」
※「」内は公式ブログなどから抜粋。
「こども」「住み続けたい」「安心できるまちづくり」が中心的に訴えられ、支持・得票につながっていったのでしょう。私たち向日市「生きる」ネットのビジョンも、内容や優先順位は同様と思います。まだまだ訴えを届けることが不十分で、市民のみなさんの支持・得票という意思表示にまで至らなかった、私たちの力不足、取り組み不足であり、深く反省・検証し、これからに活かして行かなければならないという思いでいっぱいです。向日市政のリノベーションを、ご一緒に取り組みたいと思います。
どうか、向日市政のあり様について、時々立ち止まって、ご自身のくらし・いのち・人生、そして何よりもこどもたちの未来と結び合わせてお考えいただける機会を増やせるように、私たち向日市「生きる」ネットは引き続き「こども・子育て・いのち・くらし支えきる市政に」をスローガンに取り組んで参ります。みなさんのお声・ご要望・お力をお寄せいただきますようにお願いいたします。